放射性廃棄物の処分について
高レベル放射性廃棄物の性質
高レベル放射性廃棄物は、当初は放射能が高く発熱量も高い状態にあるが、30年から50年で埋設可能な発熱量となり、含まれる大部分の放射性物質の放射能は数百年の間に急速に減少する。一方、一部の放射性物質は放射能は低いものの寿命が長いため、長期にわたって放射能が存在する。
時間とともに減衰する高レベル放射性廃棄物の放射能
高レベル放射性廃棄物には、
- 放射能レベルは非常に高いが半減期は比較的短い放射性物質(例えば、セシウム-137は約30年、ストロンチウム-90は約29年)
- 放射能レベルは比較的低いが半減期の非常に長い放射性物質(例えば、ネプツニウム-237は約214万年、ジルコニウム-93は約153万年)
【注】
ベクレル:放射能の強さを表す単位で、1ベクレルとは、1秒間に1個の原子が放射性崩壊する時の放射能の強さを表します。また、1ギガ・ベクレルとは1秒間に10億個の原子が放射性崩壊する時の強さを表します。
分子構造レベルでみたガラス網目構造中の廃棄物元素の存在状態
ガラスの化学構造は、主成分であるケイ素とホウ素が酸素を介して網目構造を形成する ので、多種類の放射性物質が網目の中に入り均質で安定な一種類の物質になります。高レ ベル放射性廃液をガラスにより安定な形態に固化すると、アクチニド元素や他の廃棄物元 素はガラスと混ざるのではなく、色ガラスの成分と同じように、ガラスと一体化したもの になります。
ガラスには水に非常に溶けにくく、長期間にわたり変質しにくいという性質があります。 このことは、古代の遺跡から、ガラス製品が輝きや鮮やかな色彩をほとんど失わずに出土 していることからもわかります。
- 【出典】
- 「高レベル放射性廃棄物処分に向けての基本的考え方について」 原子力委員会 高レベル放射性廃棄物処分懇談会 平成10年5月
- 「高レベル放射性廃棄物処分に向けての基本的考え方について(参考資料)」 原子力委員会 高レベル放射性廃棄物処分懇談会 平成10年5月