放射性廃棄物の処分について

高レベル放射性廃棄物の発生

 自然界に鉱物資源の一つとして存在するウランは、核分裂しにくいウラン、いわゆる燃えにくいウラン(ウラン238)がほとんどを占めるが、その中に、0.7%程度、核分裂しやすいウラン、いわゆる燃えやすいウラン(ウラン235)が含まれている。原子力発電(軽水炉発電)は、この燃えやすいウランを3%∼5%に濃縮したものを燃料として、核分裂の連鎖反応を持続的に起こさせ、発生するエネルギーを電気に変換して利用するものである。

 発電後の燃料(使用済燃料)には、核反応の結果生成した新たな物質が含まれているが、この中には、放射能の極めて高い放射性物質や半減期が極めて長い放射性物質が含まれる。

例えば燃えやすいウランを3%、燃えにくいウランを97%含む燃料を発電に利用すると、使用済燃料中には (1)燃え残りの燃えやすいウランが約1%、燃えにくいウランが約95%、新たに生成したプルトニウムが約1% (2)新たに生成したその他の放射性物質が約3%含まれている。

 我が国においては、このうち(1)については、使用済燃料を再処理することにより、分離・回収し、リサイクル利用し、(2)については、放射能が極めて高い核分裂生成物等が含まれるため、化学的に安定な形態に処理して、高レベル放射性廃棄物として安全に処分することとしている。具体的には、現在、再処理工場で(2)をガラスと混ぜて安定化し、ステンレス製容器(高さ約130cm、直径約40cm)の中に固めた、いわゆるガラス固化体としている。

原子燃料サイクル

原子燃料サイクル

    【出典】
  1. 高レベル放射性廃棄物処分事業の制度化のあり方
    (総合エネルギー調査会 原子力部会中間報告 平成11年3月23日)
  2. 「原子力」図面集 2001-2002 電気事業連合会