放射性廃棄物関係法令集等

原子力の研究・開発及び利用に関する長期計画(抄)(平成6年6月24日)

原子力委員会決定(平成6年6月24日)


第3章 我が国の原子力開発利用の将来計画

7.バックエンド対策

(1)放射性廃棄物の処理処分

(i)放射性廃棄物の処理処分に係る基本的考え方

放射性廃棄物は、放射能レベルの高低、含まれる放射性物質の種類等により多種多様です。このため、この多様性を十分踏まえた適切な区分管理と、区分に応じた合理的な処理処分を行うとともに、資源の有効利用の観点から再利用についての検討も進めることとし、これらに必要な研究開発を着実に進めるほか、規制除外・規制免除についても国際動向を踏まえ適切に対処することとします。

また、低レベル放射性廃棄物も含め放射性廃棄物の海洋投棄については、社会的、政治的な情勢等を勘案してこれを行わないこととします。なお、将来、これらの情勢が大きく変化した場合は再検討も考慮することとします。

事業活動等に伴って生じた放射性廃棄物の処理処分の責任については、各事業者等が自らの責任において処理処分することを基本とし、処分の責任を有する者は、その具体的実施計画を整備し、処分費用を負担するなど、処分を適切かつ確実に行う責務を果たすこととします。
国は、処分方策を総合的に策定し、また、処分の安全性の確認を行うとともに、処分の責任を長期的に担保するために必要な法制度等を整備するなど、最終的に安全が確保されるよう、所要の措置を講ずる責任があります。

(ii) 発電所廃棄物の処理処分

原子力発電所等において発生する低レベル放射性廃棄物(発電所廃棄物)については、電気事業者等原子炉設置者に、直接の廃棄物発生者として当該廃棄物の処分を適切かつ確実に行う責任があります。

当該廃棄物のうち、放射能レベルの比較的低いものについては浅地中処分を進め、放射能レベルの比較的高いものについては、その発生の実態、関連する研究開発の進展状況等を考慮しながら、合理的な処理処分が安全に行われるよう引き続き検討を進めていくこととします。

(iii) サイクル廃棄物の処理処分

再処理施設や燃料加工施設などの核燃料サイクル関連施設から発生する放射性廃棄物(以下「サイクル廃棄物」といいます。)は、再処理施設において使用済燃料から分離される高レベル放射性廃棄物、再処理施設やMOX燃料加工施設から発生する超ウラン(TRU)核種を含む放射性廃棄物、ウラン燃料加工施設やウラン濃縮施設から発生するウラン廃棄物に大別されます。

(イ)高レベル放射性廃棄物の処理処分
高レベル放射性廃棄物は、安定な形態に固化した後、30年間から50年間程度冷却のための貯蔵を行い、その後、地下の深い地層中に処分すること(以下「地層処分」といいます。)を基本的な方針とします。高レベル放射性廃棄物の処分方策を進めていくに当たっては、国は、処分が適切かつ確実に行われることに対して責任を負うとともに、処分の円滑な推進のために必要な施策を策定します。

また、動力炉・核燃料開発事業団は、当面、研究開発や地質環境調査の着実な推進を図ります。電気事業者は、処分に必要な資金の確保のみならず、研究開発の段階においても、高レベル放射性廃棄物の発生に密接に関連する者としての責任を十分踏まえた役割を果たすこととします。

処分事業の実施主体については、処分場の建設スケジュールを考慮し、2000年を目安にその設立を図っていくことが適当であり、高レベル放射性廃棄物対策推進協議会(国、電気事業者及び動力炉・核燃料開発事業団により構成される)の下に設けられた高レベル事業推進準備会において、実施主体の在り方についての検討やその設立に向けた準備を進めていきます。
地層処分については概ね以下の手順で進めることとします。

1) 実施主体は、地層処分の候補地として適切と思われる地点について予備的に調査を行い、処分予定地を選定し、国は、立地の円滑化を図る観点から必要な措置を講ずるため、その選定の結果を確認します。ただし、その地点を処分予定地とするに当たって、実施主体は地元にその趣旨を十分に説明し、その了承を得ておくものとします。

2) 次に実施主体は、実際の処分地としての適性を判断するため、処分予定地において地下施設による所要のサイト特性調査と処分技術の実証を行います。

3) 実施主体は処分地として適当と判断すれば、処分場の設計を行い、処分に係る事業の申請を行いますが、国は、処分に係る事業を許可するに当たり、必要な法制度等の整備を図るとともに安全審査を行います。

処分場の建設・操業の計画は、処分場建設に至るまでに要する期間や再処理計画の進展などの今後の原子力開発利用の状況等を総合的に判断して、2030年代から遅くとも2040年代半ばまでの操業開始を目途とします。

処分に必要な資金の確保については、処分費用の範囲、処分費用の概算、資金確保の方法などの具体的検討を進め、早急に合理的な費用の見積りを行うこととします。
地層処分の研究開発は、国の重要プロジェクトとして、動力炉・核燃料開発事業団を中核推進機関として関係機関が協力して進めていくこととします。研究開発は、当面、対象とすべき地質環境を幅広く想定し、地層処分を行うシステムの性能評価研究、処分技術の研究開発、地質環境条件の調査研究等の各分野において引き続き進めるほか、地層処分研究開発の基盤となる深部地質環境の科学的研究を着実に進めることとします。

深地層の研究施設は、深地層の環境条件として考慮されるべき特性等の正確な把握や地層処分を行うシステムの性能を評価するモデルの信頼性向上等地層処分研究に共通の研究基盤となる施設であり、我が国における深地層についての学術的研究にも寄与できる総合的な研究の場として整備していくことが重要です。

また、このような施設は、我が国の地質の特性等を考慮して複数の設置が望まれます。さらに深地層の研究施設の計画は、研究開発の成果、特に深部地質環境の科学的研究の成果を基盤として進めることが重要であり、その計画は処分場の計画とは明確に区別して進めていきます。
動力炉・核燃料開発事業団が北海道幌延町で計画している貯蔵工学センターについては、地元及び北海道の理解と協力を得てその推進を図っていきます。

研究開発においては、国民の理解を得ていくためにもその進捗状況や成果を適切な時期に取りまとめ、研究開発の到達度を明確にしていくこととします。このため、動力炉・核燃料開発事業団は、2000年前までに予定している研究開発の成果の取りまとめを行い、これを公表するとともに、国はその報告を受け、我が国における地層処分の技術的信頼性等を評価します。

なお、高レベル放射性廃棄物の資源化と処分に伴う環境への負荷の低減の観点から将来の技術として注目されている核種分離・消滅処理技術に係る研究開発については、当面、日本原子力研究所、動力炉・核燃料開発事業団等が協力して基礎的な研究開発を計画的に推進することとし、1990年代後半を目途に各技術を評価し、それ以降の進め方について検討していくこととします。

(ロ)TRU核種を含む廃棄物の処理処分
TRU核種を含む放射性廃棄物については、廃棄物を直接的に発生する再処理事業者やMOX燃料加工事業者と、その発生に密接に関連する原子力発電を行う電気事業者が、当該廃棄物の帰属や処分に関する責任を当事者間において明確にします。その結果を踏まえ、処分の責任を有する者は、実施スケジュール、実施体制、資金の確保等について検討を進めることとします。

また、その処分については、約1ギガベクレル/トンの値を廃棄物に含まれる全アルファ核種の一応の区分目安値(以下「区分目安値」といいます。)として設定し、これより全アルファ核種の放射能濃度が低いものと高いものに区分します。

アルファ核種の放射能濃度が区分目安値よりも低く、かつベータ・ガンマ核種の放射能濃度も比較的低いものについては、浅地中処分が可能と考えられるため、その具体化を図ることとします。アルファ核種の放射能濃度が区分目安値よりも高く、浅地中処分以外の地下埋設処分が適切と考えられるものについては、高レベル放射性廃棄物処分方策との整合性を図りつつ、民間再処理事業等が本格化する時期を考慮し、1990年代末を目途に具体的な処分概念の見通しが得られるよう技術的検討を進めることとします。処分の責任を有する者は、その検討結果等を総合的に勘案し、処分方策の具体化を検討することとします。

動力炉・核燃料開発事業団は、日本原子力研究所の協力を得て、処分技術の研究開発を進めることとします。また、電気事業者等はTRU核種を含む放射性廃棄物の発生に関する自らの責任を十分踏まえた役割を果たすことが必要です。

(ハ)ウラン廃棄物の処理処分
ウラン廃棄物については、廃棄物を直接的に発生するウラン転換・成型加工事業者や濃縮事業者と、その発生に密接に関連する原子力発電を行う電気事業者が、当該廃棄物の帰属や処分に関する責任を当事者間において明確にします。

その結果を踏まえ、処分の責任を有する者は、実施スケジュール、実施体制、資金確保等について検討を進めることとします。ウラン濃度が比較的低い大部分の廃棄物については、段階管理(放射能の減衰に応じて、保安のための措置を段階的に変更する管理方法)を伴わない簡易な方法による浅地中処分を行うことが可能と考えられ、今後、具体的な方法の検討を行った上で、基準の整備等を図っていくこととします。

(iv) RI廃棄物及び研究所等廃棄物の処理処分

放射性同位元素等の使用施設等から発生する放射性廃棄物(RI廃棄物)の処分については、日本原子力研究所と廃棄業者としてRI使用者等からRI廃棄物を譲渡され自ら保管廃棄している(社)日本アイソトープ協会等の主要な責任主体が協力して、実施スケジュール、実施体制、資金確保等について、早急に検討を始めることとします。

国は、海洋投棄に替えて地中埋設を実施に移すための基本方針を策定し、「放射性同位元素による放射線障害の防止に関する法律」等関係法令の改正など、制度面での整備を行うなど、処分が適切かつ確実に実施されるよう措置することとします。

処分については、比較的半減期の短いベータ・ガンマ核種が主要核種である廃棄物のうち、放射能レベルの比較的低いものは浅地中処分又は簡易な方法による浅地中処分を行うものとします。さらに、半減期が極めて短い核種のみを含むものについては、段階管理を伴わない簡易な方法による浅地中処分を行うこととします。

今後、これらの具体的な方法を検討した上で、基準の整備等を図っていくこととします。アルファ核種のような長半減期核種が主要核種であるものについては、TRU核種を含む廃棄物及びウラン廃棄物を参考に処分を検討することとします。

研究所等廃棄物は、直接の廃棄物発生者である日本原子力研究所、動力炉・核燃料開発事業団等の主要な機関が協力して、実施スケジュール、実施体制、資金の確保等について、早急に検討を進めることとします。

(v) 返還廃棄物への対応

海外再処理に伴い返還される予定の高レベル放射性廃棄物や低レベル放射性廃棄物は、円滑に返還が行われるよう、電気事業者が中心となって所要の措置を講ずることとします。これらの返還廃棄物は、管理施設において適切な期間貯蔵した後、処分地として適当な場所に処分しますが、いずれも国内において発生する同様な廃棄物に対する処分方策との整合性を図りつつ、処分のための諸準備を進めていくこととします。

また、返還廃棄物の国際輸送については国際的な理解と協力を得ていく必要があり、輸送の安全性等に係る情報の提供や広報活動を適切に実施していくこととします。

(2)原子力施設の廃止措置
原子力施設の廃止措置は、原子力施設設置者の責任の下、安全確保を大前提として、地域社会との協調を図りつつ進めることが重要であり、このために必要な技術開発を進めていきます。商業用発電炉の廃止措置については、原子炉の運転終了後できるだけ早い時期に解体撤去することを原則とし、解体撤去後の敷地利用については、地域社会との協調を図りつつ、原子力発電所用地として、引き続き有効に利用することとします。

解体技術開発等については、日本原子力研究所の動力試験炉及び再処理特別研究棟を対象として、実際の商業用発電炉等の廃止措置において活用し得る解体技術等の開発や実地試験を継続して行います。また、国は、商業用発電炉の解体撤去に必要な既存技術の確証試験を引き続き実施します。
原子力施設の廃止措置により発生する放射性廃棄物の処理処分については、原子力施設設置者に、直接の廃棄物発生者として実施計画を整備し処分費用を負担するなど、処理処分を適切かつ確実に行う責任があります。

(以下 略)