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処分事業の実施体制と資金確保 >>>
2. 処分事業の資金確保
廃棄物発生者である電力会社及び連邦政府は、処分実施主体の放射性廃棄物管理共同組合
(NAGRA)の活動費用を負担しています。また、電力会社は原子力発電所の運転中に係る廃棄
物管理に必要となる費用を賄うため、引当金を計上しており、原子力発電所の閉鎖後の廃棄物管理
費用については、放射性廃棄物管理基金への拠出金を負担しています。
◎処分費用の負担者
スイスでは、放射性廃棄物の発生者が処分費用を
負担しなければならないことが 2005 年 2 月に施行され
た原子力法で定められています。廃棄物発生者であ
る電力会社及び連邦政府は、放射性廃棄物管理共
同組合(NAGRA)の放射性廃棄物管理に関する
調査・研究活動などに必要な費用を負担しています。
◎処分の資金確保制度
スイスでの放射性廃棄物管理の資金確保では引
当金制度と拠出金制度が併用されています。
原子力発電所の運転中に係る放射性廃棄物管理
費用については、2005 年 2 月に施行された原子力法
により、原子力発電所の所有者が引当金を計上する
ことにより資金確保しています。
原子力発電所の運転停止後の放射性廃棄物管
理については、必要な費用を賄うために設立された
放射性廃棄物管理基金に対して、電力会社が毎年
拠出金を支払う義務を有しています。2000 年 3 月に
放射性廃棄物管理基金令が制定され、原子力発電
所の閉鎖後の廃棄物管理活動全般に必要な費用を
基金化する制度が確立しました。この政令は 2007 年
12月に、原子力施設の廃止措置基金に関する政令
と一本化され、廃止措置・廃棄物管理基金令となり
ました。放射性廃棄物管理のための基金の積立対
象となるのは、原子力発電所の閉鎖後に必要となる
右の費用です。
この基金は、連邦評議会が設立した管理委員会
によって管理され、この委員会が費用の想定額につ
いての決定も行います。基金への払い込みは、2001
年末から始まっており、2023 年末における放射性廃
棄物管理基金の残高は、約59億7,200万スイスフラン
(約 1 兆 390 億円)です(1 スイスフラン=174 円とし
て換算)。
電力の消費者
NAGRA
見積り
払い込み
放射性廃棄物管理基金
基金管理
委員会
・費用の想定額を決定
・拠出金額を決定
電力4社
引当金を計上
スイスにおける資金確保の仕組み
放射性廃棄物管理基金の積立対象となる費用
a. 廃棄物の輸送及び処分
b. 使用済燃料の輸送及び処分
c. 処分場の 50 年間のモニタリング段階
d. 処分場の設計、計画、計画管理、建設、操業、閉鎖及び
監視
e. 放射線防護措置及び作業被ばく防止措置
f. 官庁による許認可及び監督
g. 保険
h. 管理費用