放射性廃棄物の処分について

処分場はどのように作るのか?

 原子力発電環境整備機構は、特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律の規定に従い、概要調査地区等の選定を行うものとする。この際、概要調査地区の中から精密調査地区を、精密調査地区の中から最終処分施設建設地を選定するものとする。
 国は、原子力発電環境整備機構による概要調査地区等の選定過程を監督するとともに、機構の申請を受けて概要調査地区等の所在地を最終処分計画に定めようとするときには、当該概要調査地区等を管轄する都道府県知事及び市町村長の意見を聴き、これを十分に尊重してしなければならない。

概要調査地区の選定

 原子力発電環境整備機構は、概要調査地区を選定しようとするときは、最終処分計画及び当該機構の承認実施計画に従い、次に掲げる事項について、あらかじめ、文献その他の資料による調査(文献調査)を行わなければならない。
  1. 概要調査地区として選定しようとする地区及びその周辺の地域において過去に発生した地震等の自然現象に関する事項
  2. 前述の地区及び地域内に活断層があるときは、その概要に関する事項
  3. その他経済産業省令で定める事項
 機構は、前述の規定により文献調査を行ったときは、その結果に基づき、経済産業省令で定めるところにより、当該文献調査の対象となった地区(文献調査対象地区)のうち次のいずれにも適合していると認めるものの中から概要調査地区を選定しなければならない。
  1. 当該文献調査対象地区において、地震等の自然現象による地層の著しい変動の記録がないこと。
  2. 当該文献調査対象地区において、将来にわたって、地震等の自然現象による地層の著しい変動が生ずるおそれが少ないと見込まれること。
  3. その他経済産業省令で定める事項

精密調査地区の選定

 原子力発電環境整備機構は、精密調査地区を選定しようとするときは、最終処分計画及び当該機構の承認実施計画に従い、次に掲げる事項について、あらかじめ、当該承認実施計画の概要調査地区を対象とする概要調査を行わなければならない。
  1. 当該概要調査地区内の最終処分を行おうとする地層及びその周辺の地層(対象地層等)における地震等の自然現象による対象地層等の変動に関する事項
  2. 当該対象地層等を構成する岩石の種類及び性状に関する事項
  3. 当該対象地層等内に活断層があるときは、その詳細に関する事項
  4. 当該対象地層等内に破砕帯又は地下水の水流があるときは、その概要に関する事項
  5. その他経済産業省令で定める事項

<概要調査の方法>

  1. 地表踏査
  2. 物理踏査(空中、地上又は水上において行うものに限る)
  3. トレンチの掘削

 原子力発電環境整備機構は、前述の規定により概要調査を行ったときは、その結果に基づき、経済産業省令で定めるところにより、当該概要調査の対象となった概要調査地区のうち次の各号のいずれにも適合していると認めるものの中から精密調査地区を選定しなければならない。

  1. 当該対象地層等において、地震等の自然現象による地層の著しい変動が長期間生じていないこと。
  2. 当該対象地層等が坑道の掘削に支障のないものであること。
  3. 当該対象地層等内に活断層、破砕帯又は地下水の水流があるときは、これらが坑道その他の地下の施設(地下施設)に悪影響を及ぼすおそれが少ないと見込まれること。
  4. その他経済産業省令で定める事項

最終処分施設建設地の選定

 原子力発電環境整備機構は、最終処分施設建設地を選定しようとするときは、最終処分計画及び当該機構の承認実施計画に従い、次に掲げる事項について、あらかじめ、当該承認実施計画の精密調査地区を対象とする精密調査を行わなければならない。
  1. 当該精密調査地区内の最終処分を行おうとする地層(対象地層)を構成する岩石の強度その他の当該対象地層の物理的性質に関する事項
  2. 当該対象地層内の水素イオン濃度その他の当該対象地層の化学的性質に関する事項
  3. 当該対象地層内に地下水の水流があるときは、その詳細に関する事項
  4. その他経済産業省令で定める事項

<精密調査を行う施設>
精密調査を行う施設は、次に掲げる装置を設置する坑道とする。

  1. 地層を構成する岩石の強度その他の地層の物理的性質に関する情報を収集するために必要な測定及び試験を行うための装置
  2. 地層内の水素イオンの濃度その他の地層の化学的性質に関する情報を収集するために必要な測定及び試験を行うための装置
  3. 地層内の地下水の水流の詳細に関する情報を収集するために必要な測定及び試験を行うための装置

 原子力発電環境整備機構は、前述の規定により精密調査を行ったときは、その結果に基づき、経済産業省令で定めるところにより、当該精密調査の対象となった精密調査地区のうち次の各号のいずれにも適合していると認めるものの中から最終処分施設建設地を選定しなければならない。

  1. 地下施設が当該対象地層内において異常な圧力を受けるおそれがないと見込まれることその他当該対象地層の物理的性質が最終処分施設の設置に適していると見込まれること。
  2. 地下施設が当該対象地層内において異常な腐食作用を受けるおそれがないと見込まれることその他当該対象地層の化学的性質が最終処分施設の設置に適していると見込まれること。
  3. 当該対象地層内にある地下水又はその水流が地下施設の機能に障害を及ぼすおそれがないと見込まれること。
  4. その他経済産業省令で定める事項

    【出典】
  1. 特定放射性廃棄物の最終処分に関する基本方針を定めた件 平成12年10月
  2. 特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律 平成12年6月
  3. 特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律施行令 平成12年10月