放射性廃棄物関係法令集等

TRU核種を含む放射性廃棄物の処理処分について(抄)(平成3年7月30日)

原子力委員会放射性廃棄物対策専門部会(平成3年7月30日)

1. はじめに

使用済燃料の再処理とウラン、プルトニウム混合酸化物燃料(MOX燃料)の加工の過程で発生する放射性廃棄物は、ベータ・ガンマ核種のほかにアルファ核種である半減期の長いTRU核種も含んでおり、この放射性廃棄物から高レベル放射性廃棄物を除いたものを「TRU核種を含む放射性廃棄物」という。

TRU核種を含む放射性廃棄物については、昭和62年の原子力委員会の「原子力開発利用長期計画」において、適切な区分とその区分に応じた合理的な処分方策を確立することなどが示されている。

TRU核種を含む放射性廃棄物は、再処理事業やMOX燃料加工事業の進展に伴い、その発生量の増大が見込まれ、今後、処理処分を計画的かつ効率的に推進していくことが必要である。このため、TRU核種を含む放射性廃棄物の処理処分の推進のための具体的取組のあり方についてとりまとめたので報告する。

(中略)

3. 現在の発生量と今後の見通し

TRU核種を含む放射性廃棄物の現在までの累積量は、処理済の固化体と、まだ減容・固化処理を行わずに保管している放射性廃棄物を現在及び現在検討中の処理方法で処理し、固化したと想定したものを合わせて、200リットルドラム缶の固化体換算で約4万本である。

今後の発生量の見通しについては、現在までの動燃事業団の東海再処理工場及びMOX燃料製造施設の操業実績、国内の民間再処理施設の設計等を基に、各施設の工程毎の発生量と放射能濃度を算出して、これに昭和62年の「原子力開発利用長期計画」に基づく国内、海外の再処理及びMOX燃料加工の操業計画を勘案すると、その発生量は、1990年代後半からその増加が顕著となり、200リットルドラム缶換算で、2010年時点で、約30万本になると予測される。これに加え、将来的には、関連する核燃料施設の解体に伴うTRU核種を含む放射性廃棄物の発生も予想される。

(中略)

6. 処理処分の基本的な考え方

(中略)

(2)処分の基本的な考え方 TRU核種を含む放射性廃棄物のうちでも、含まれるアルファ核種の放射能濃度が低く、かつ含まれるベータ・ガンマ核種の放射能濃度の比較的低いものは、原子炉施設から発生する低レベル放射性廃棄物と同様に、浅地中処分が考えられる。一方、それ以外の、含まれるアルファ核種の放射能濃度が比較的高い放射性廃棄物の処分に当たっては、人工バリア等が高度化された処分や地層処分等の浅地中処分以外の処分方法(以下「浅地中以外の地下埋設処分」という。)が適切と考えられる(以下このような処分の対象となる放射性廃棄物を「TRU廃棄物」という)。

(i) 浅地中処分の可能性がある低レベル放射性廃棄物
我が国において、今後、TRU核種を含む放射性廃棄物の処分の具体的方策を検討し、推進していくに当たって、現段階で浅地中処分の可能性があるものについて、その放射能濃度の上限に関する一応の目安値を設定しておくことが望ましい。 原子炉施設から発生する低レベル放射性廃棄物の浅地中処分については、昭和61年から関連法令が整備され、浅地中処分が可能な放射性廃棄物についての濃度上限値が定められた。この濃度上限値のうち全アルファ核種の濃度上限値は、1.11ギガベクレル/トン(0.03キュリー/トン)である。この際の濃度上限値は、その算出において、核種毎の被ばく線量評価を基礎にしており、廃棄物の発生源となる原子力施設の種類には基本的には関係していない。 再処理施設等から発生するTRU核種を含む放射性廃棄物の処分方策を考えていくに当たっても、原子炉施設から発生する放射性廃棄物の場合と同様に、核種毎の被ばく線量評価を基礎として考えると、この全アルファ核種の濃度上限値を一応の目安値とすることが適当であり、約1ギガベクレル/トンの値を全アルファ核種の「区分目安値」として設定する。今後、TRU核種を含む放射性廃棄物のうち、放射能濃度の低いものを対象として浅地中処分を実施する場合には、具体的な濃度上限値が定められる必要があり、原子力安全委員会において、この「区分目安値」、含まれる核種の組成、安全評価シナリオ等を勘案して、審議が行われることが期待される。 具体的には、再処理施設から発生する極低レベルのプロセス濃縮廃液や極低レベルの雑固体廃棄物などの固体化等は、含まれるアルファ核種の放射能濃度が「区分目安値」よりも低く、かつベータ・ガンマ核種の放射能濃度もかなり低いと考えられるので浅地中処分の可能性のある低レベル放射性廃棄物であると考えられる。

(ii) TRU廃棄物
MOX雑固体廃棄物やハル・エンドピース等のように、TRU廃棄物として「浅地中以外の地下埋設処分」が適切と考えられるものについては、今後具体的な処分方策を検討していく必要がある。その場合、長寿命のTRU核種が長期間にわたり人間の生活圏に影響を与えないようにするため、TRU廃棄物の処分方策の具体的検討に当たっては、放射能濃度、発熱性の有無、固化体の物理・化学的性状等のTRU廃棄物の特徴を勘案して、必要な処分深度、人工バリアの性能等を考慮した安全確保方策を検討することが肝要である。

7. 今後の処分方策の具体化の進め方

浅地中処分の可能性がある低レベル放射性廃棄物の処分については、原子炉施設からの低レベル放射性廃棄物の処分を踏まえ、その具体化を推進していくことが重要である。その際、放射能濃度の特に低い廃棄物については、トレンチ処分等の合理的な処分の可能性についても検討していくことが望ましい。 浅地中処分の可能性がある低レベル放射性廃棄物の量については、将来の処理技術の動向によって変わり得るものであるが、動燃事業団東海再処理工場及びMOX燃料製造施設においてこれまで発生しているTRU核種を含む放射性廃棄物について、現在の処理技術を基礎として見れば、その約4割程度と見込まれる。 RU廃棄物の浅地中以外の地下埋設処分については、減容化処理などによる発生量の一層の低減化を進めていくとともに、今後、処理方法を明確にしていくことが必要であり、再処理事業等の本格化する時期を考慮し、1990年代後半までにその見通しが得られるように検討を進めていくことが適当である。また、あわせて、処分の実施スケジュール、実施体制、費用確保等についても検討を進めていく必要がある。 TRU廃棄物は、含まれる放射能濃度の範囲が広く、固化体の形態も多種多様であることから、まず、それぞれの放射性廃棄物毎に、その放射能濃度や物理・化学的性状等の諸特性を踏まえた処分方法の検討を行う必要がある。しかし、それぞれの放射性廃棄物の処分方法を別個に定めていくことは、TRU廃棄物処分の全体的合理性の観点からは、必ずしも実際的でないことも考えられる。このため、安全確保を図りつつ、個別の処分方法を統合化し、最適化していくことが適当である。

(以下 略)

表1 動燃事業団の東海再処理工場とMOX燃料製造施設におけるTRU核種を含む放射性廃棄物の現在の処理方法と累積発生量(平成3年3月末現在) 東海再処理工場 廃棄物の種類     現在の処理方法*1    累積発生量*2     処理済量*3    ハル・エンドピース     (圧縮)       約600本         0本   プロセス濃縮廃液     低 レベル アスファルト固化 約11,900本 約9,500本     極低レベル アスファルト固化 約12,800本 約8,700本 廃溶媒 プラスチック固化 約 1,200本 約1,000本 スラツジ (セメント固化) 約11,000本 0本 再処理雑固体低 レベル 可燃性 (焼却+溶融固化)      約60本 0本 不燃性 (圧縮)(溶融固化)     約800本 0本 極低レベル 可燃性      焼却+(溶融固化)      約400本       0本  不燃性      (圧縮)(溶融固化) 約2,900本       0本 MOX燃料製造施設 廃棄物の種類 現在の処理方法*1 累積発生量*2 処理済量*3 MOX雑固体 可燃性 焼却+溶融固化 約70本 20本 不燃性 溶融固化 約1,700本 8本 総 計 約43,000本 約19,000本 *1( )内はまだ実施されていないが、現在検討中の処理方法 *2現在の処理方法Mの方法で、未処理のものも含めて処理し、固化したと想定した場合の200リットルドラム缶換算の量の *3現在、既に、処理及び固化が行われ、保管されている200リットルドラム缶の量