放射性廃棄物関係法令集等

RI・研究所等廃棄物処理処分の基本的考え方について(抄)(平成10年5月28日)

原子力委員会 原子力バックエンド対策専門部会 (平成10年5月28日)

RI・研究所等廃棄物処理処分の基本的考え方について (平成10年5月28日) 2.02MB

第1章 RI廃棄物の処理処分に関する基本的考え方について

(中略)

2.2 RI廃棄物の処分に関する基本的考え方
RI廃棄物を安全かつ合理的に処分するためには、廃棄体(コンクリート等で廃棄物自体が安定なために固型化処理されていない廃棄物を含む)の放射能濃度等を考慮し、それぞれの廃棄体に適した処分方法を採用することが必要である。したがって、RI廃棄物の処分方法について、廃棄体中の放射能濃度及び放射能以外の廃棄体の性状の観点からそれぞれ検討を行った。

(1) 放射能濃度に対応した処分
放射性廃棄物は、これに含まれる放射性核種の種類と放射能濃度を勘案して廃棄物を区分し、各々に適した処分施設において、安全かつ合理的な処分を行うことが必要である。
現行の政令濃度上限値以下の低レベル放射性廃棄物で、極低レベル放射性廃棄物より放射能濃度が高いRI廃棄物(廃棄体数量はRI廃棄物全体の5%程度)は、埋設処分に係る被ばく評価で重要となる放射性核種が3H、14C、60Co、90Sr、137Cs等であることから、現行の発電所廃棄物と同様に浅地中の「コンクリートピット処分」が適当であると考えられる。
RI廃棄物の大部分は、放射能濃度で区分すると、極低レベル放射性廃棄物以下のものである。このような放射性廃棄物に関しては、原子炉等規制法において、原子炉施設から発生したコンクリート等を対象として、「人工構造物を設けない浅地中処分(素掘り処分)」が可能とされており、この廃棄物に相当するRI廃棄物についても同様に、放射能濃度の観点からは「素掘り処分」が可能と考えられる。
さらに、密封線源等の放射性廃棄物の一部には、βγ核種やα核種の放射能濃度が高く、現行の政令濃度上限値を超える低レベル放射性廃棄物やTRU核種を含む放射性廃棄物に相当するものがある。これらの廃棄物については、今後検討されるそれぞれの放射性廃棄物の処分方策に準じて埋設処分を行うことが必要である。
なお、RI廃棄物のうち、クリアランスレベル以下に相当すると考えられる廃棄物については、クリアランスレベルに関する原子力安全委員会での検討状況を踏まえつつ、適切に分別管理を行っておくことが重要である。

(2) 放射能以外の廃棄体の性状に対応した処分
RI廃棄物の廃棄体の大部分は、焼却灰や金属等をセメント等の固型化材料で固型化されたものと考えられる。また、一部に有害な物質を含む廃棄物を無害化処理を行って廃棄体としたものも含まれると考えられる。これらのRI廃棄物については、放射性物質の観点以外にも、廃棄体からの有機性の汚水の発生や重金属の溶出等を考慮した対策が必要である。したがって、処理に関する基本的考え方において述べたように、事前に分別管理と無害化処理を行って有害な物質を処分場に持ち込まないようにすると共に、処分場についても所要の浸出水の発生抑制や水質の管理等の対策を講じることが必要である。
処分についての具体的な対策としては、処分場への雨水等の流入を防いで浸出水の発生を極力避けると共に、浸出水が発生しても、浸出水の管理と適切な処理を行うことにより環境への影響が生じないようにする必要がある。したがって、極低レベル放射性廃棄物については、前述したように放射性物質の観点からは「素掘り処分」により安全かつ合理的な処分が可能であるが、このうち、廃棄物自体が安定で汚水を発生しないコンクリート等以外の廃棄物については「素掘り処分」ではなく、廃棄物の処理及び清掃に関する法律における「管理型処分場」の構造基準(透水性の低い粘土や二重の遮水シート等の設置、浸出水処理施設の設置、水質の監視等の基準)を踏まえた処分施設を設置することが必要であると考えられる。
また、加速器の解体等で発生するようなコンクリート等の廃棄物については、廃棄物自体が安定なものであることから、放射能濃度に応じて「素掘り処分」又は浅地中の「コンクリートピット処分」を行うことで、安全かつ合理的な処分が実施できる。
以上のことをまとめると、RI廃棄物の処分方策は、現在の処理技術を前提とした場合、表1のように整理される。ただし、ここに挙げた廃棄体数量は現時点における推定数量をそれぞれの廃棄物区分に割り振ったものであり、今後の廃棄物の発生量の変動や減容性の高い処理技術の導入等により変わり得る。
表1 RI廃棄物の区分と処分形態
廃棄物の区分 想定される処分形態   廃棄体数量(推定値)
α核種の放射能濃度が約1GBq/tを超える放射性 今後検討される処分方策   約 1.5千本 廃棄物--注1)                に準じる 現行の政令濃度上限値を超える低レベル放射性 今後検討される処分方策     約   2千本 廃棄物                   に準じる 現行の政令濃度上限値以下の低レベル放射性廃 コンクリートピット処分    約  1万本  棄物 安定なコンクリート等 素掘り処分 約 2万4千本 極低しベル放 射性廃棄物 その他 「管理型処分」--注2)と    約 5万8千本 同様な処分   クリアランスレベル以下のもの 再利用又は産業廃棄物と 約 11万8千本--注3) 同様の処分
合 計 約 21万3千本

(セメントで固型化した紅廃棄物の廃棄体が50年間で約21万本発生すると推定した場合)
1)TRU核種を含む放射性廃棄物のうち区分目安値(α核種の放射濃度:約1GBq/t)を超える廃棄物に相当する放射性廃棄物である。
2)廃棄物の処理及び清掃に関する法律で示されている「管理型処分」。
3)IAEAで提案されているクリアランスレベルの値を参考にした。


2.2 研究所等廃棄物の処分に関する基本的考え方

放射性廃棄物の処分は、廃棄物の種類、放射能濃度等に応じて、適切に区分して実施する必要があり、現行の発電所廃棄物の処分方策等を参考にすると、以下のようになる。

(1) 現行の政令濃度上限値以下の低レベル放射性廃棄物
研究所等廃棄物のうち、現行の政令濃度上限値以下の低レベル放射性廃棄物は、試験研究炉の運転等により発生している。これらの廃棄物に含まれる放射性核種は発電所廃棄物と同様、主に3H、14C、60Co、90Sr、137Cs等である。このため、当該廃棄物の処分は、原子炉等規制法で既に規定されている浅地中の「コンクリートピット処分」が適当である。

(2) 極低レベル放射性廃棄物
極低レベル放射性廃棄物は、主に試験研究炉や核燃料物質等の使用施設等の解体で発生するコンクリート等であって、原子力発電所の解体等により発生する極低レベル放射性廃棄物と類似したものである。
日本原子力研究所の試験研究炉である動力試験炉(JPDR)の解体から発生した廃棄物のうち極低レベル放射性廃棄物であるコンクリート等は既に原子炉等規制法の下で「素掘り処分」により埋設実地試験がなされている。この結果を踏まえ、他の試験研究炉及び核燃料物質等の使用施設等から発生する極低レベル放射性廃棄物の約8割を占めるコンクリート等廃棄物についても、廃棄体中の放射能濃度等が埋設に係る技術基準に適合して安全であることを確認した上で「素掘り処分」により処分することが適当である。その他の極低レベル放射性廃棄物は、焼却灰や金属等を固型化したものである。このような廃棄物については、放射能の観点以外にも、廃棄体からの有機性の汚水の発生や重金属の溶出等を考慮した対策が必要である。即ち、RI廃棄物と同様に、分別管理、無害化処理等を行った後、「管理型処分場」の構造基準を踏まえた処分施設での処分が必要であると考えられる。

(3) 現行の政令濃度上限値を超える低レベル放射性廃棄物、TRU核種を含む放射性廃棄物及びウラン廃棄物相当の放射性廃棄物
現行の政令濃度上限値を超える低レベル放射性廃棄物、TRU核種を含む放射性廃棄物及びウラン廃棄物に相当する廃棄物については、今後検討されるそれぞれの放射性廃棄物の処分方策に準じて埋設処分を行うことが必要である。

(4) クリアランスレベル以下の廃棄物
原子炉施設等の解体等に伴い発生する廃棄物についてはクリアランスレベル以下に相当すると考えられる廃棄物が多く含まれる。このような廃棄物については、クリアランスレベルの検討状況を踏まえつつ、適切な分別管理を行っておくことが必要である。
以上のことをまとめると、研究所等廃棄物の処分方策は、現状の処理技術を前提とした場合、表2のように整理される。ただし、ここに挙げた廃棄体数量はRI廃棄物と同様、現時点における推定量をそれぞれの廃棄物区分に割り振ったものであり、今後の廃棄物の発生量の変動や処理方法により変わり得る。
表2 研究所等廃棄物の区分と処分形態
廃棄物の区分  想定される処分形態 廃棄体数量(推定値)
α核種の放射能濃度が約1GBq/tを超える放射性  今後検討される処分方策     約 3万本--注2) 廃棄物--注1)                に準じる 現行の政令濃度上限値を超える低レベル放射性  今後検討される処分方策     約 3千本 廃棄物                    に準じる 現行の政令濃度上限値以下の低レベル放射性廃  コンクリートピット処分     約13万4干本--注3)   棄物            安定なコンクリート等  素掘り処分           約 20万6千本 極低しベル放 射性廃棄物      その他         「管理型処分」--注4)と     約 5万1千本                          同様な処分 クリアランスレベル以下のもの         再利用又は産業廃棄物と 約 59万本--注5)                        同様の処分
合 計 約101万4千本
1)TRU核種を含む放射性廃棄物のうち区分目安値(α核種の放射能濃度:約1GBq/t)を超える廃棄物に相当する放射性廃棄物である。
2)日本原子力研究所においては、α核種の放射能濃度が約1GBq/tを超える放射性廃棄物と照射済み試験片が混在して保管されているが、今後分別がなされる予定であり、数量について変更があり得る。
3)ウラン、トリウムのみを含む廃棄物約3千本も含まれている。
4)廃棄物の処理及び清掃に関する法律で示されている「管理型処分」。
5)IAEAで提案されているクリアランスレベルの値を参考にした。
(注)動力炉・核燃料開発事業団から発生する放射性廃棄物のうち、核燃料サイクル関連施設から発生する TRU核種を含む放射性廃棄物やウラン廃棄物並びに発電所廃棄物として発生段階で区分されているもの については、ここでの廃棄体数量には含めていない。

(以下略)