放射性廃棄物関係法令集等

低レベル放射性固体廃棄物の陸地処分の安全規制に関する基本的考え方について(抄)(昭和60年10月11日)

原子力安全委員会 放射性廃棄物安全規制専門部会

低レベル放射性固体廃棄物の陸地処分の安全規制に関する基本的考え方について (昭和60年10月11日)581KB


第2章 陸地処分の安全確保の考え方

第1節 放射性廃棄物の処分の基本的考え方

(1)放射性廃棄物は、一般に、発生源及び放射性物質の種類と濃度により、原子力発電所等において発生する低レベル放射性廃棄物、再処理工場において発生する高レベル放射性廃棄物又は再処理工場、プルトニウム—ウラン混合酸化物(MOX)燃料加工工場等において発生するTRU廃棄物(Transuranium:超ウラン)等に区分され、これらの処分については、それぞれ、その特性に応じて以下のような基本的方策が採られている。

(2)まず、放射性廃棄物は、生活環境に対する放射能の影響を未然に防止することを目標として処分されるべきものであり、そのため、処分方法に適した形態に処理した後、その放射能レベルが時間の経過に伴って減衰して安全上問題のないレベル以下になるまでの間、生活環境から安全に隔離することが基本となる。

(3)放射性廃棄物の生活環境からの隔離方法及びその期間は、主に放射性廃棄物の性状、特にそれに含まれる放射性核種の種類及び濃度により異なるものであるが、人工の構築物等の健全性又は人間による管理に最終的には依存しないことを前提として考えなければならない。

(4)現在、放射性廃棄物の処分方法としては主に、・放射性廃棄物を拡散させることにより放射能の影響を防止する方法(以下「拡散型」という。)、・時間の経過に伴って放射能の消失が有意に期待できる放射性固体廃棄物を陸地において処分し、放射能が十分に減衰するまでの間、放射能レベルに応じた段階的管理に依存して放射能の影響を防止する方法(以下「管理型」という。)、・長期に亘る隔離が必要な放射性廃棄物を物理的に生活環境から十分離れた安定なところに安全に隔離する方法(以下「隔離型」という。)、及び・極低レベル放射性廃棄物について一定の条件を付して資材、素材等への再利用又は再生利用を行う方法(以下「再利用型」という。)、の4つの型がある。(参考1参照)

(5)放射性廃棄物の処分に対する安全確保を図るに当たっては、各処分方法に対応した安全評価を行い、これに基づいた安全管理を行う必要がある。
安全評価においては、放射性核種の食物連鎖等を通じての人体への影響など放射性廃棄物の処分により一般公衆が受ける被ばく線量を評価し、障害防止上支障がないことを確認することがその基本である。

第2節 低レベル放射性固体廃棄物

(1)低レベル放射性固体廃棄物の管理処分の具体的方法としては、浅地層処分が代表的であり、既に諸外国において多くの実績が見られる。我が国においても、ドラム缶にセメント固化等十分安定化処理されるか又は容器に封入された低レベル放射性固体廃棄物(以下「廃棄体」という。)をその対象として、ピット若しくはトレンチ等に収納する浅地層処分計画が進められている。なお、この他に適当な地下空洞を利用することなども可能性として考えられている。

(2)浅地層処分においては、廃棄体をピット等に収納した後は、静的な状態に置かれるが、その安全確保の考え方としては、放射性廃棄物に含まれる放射能が時間の経過に伴って減衰し放射能レベルが安全上支障のないレベル以下になるまでの間、廃棄体、場合によってはピット等の構築物(以下「人工バリア」という。)と周辺土壌等(以下「天然バリア」という。)を組合せ、放射能レベルに応じた管理(以下「段階的管理」という。)を行うことによって、放射性廃棄物を安全に生活環境から隔離することである。

(3)段階的管理は、以下のように4つの段階が考えられるが、処分場(最終貯蔵場を含む。以下同じ。)の状態、搬入する廃棄体の閉じ込め性能等の評価の結果によっては、直ちに第2段階から入る選択肢もとり得る。
なお、現在、青森県むつ小川原開発地区に予定されている最終貯蔵計画は、当面第1段階の管理に相当するものから始めようとするものである。
(i)人工バリアによって放射性核種の人工バリア外への漏出を防止し、所要の監視(巡視・点検、人工バリアの放射線モニタリング等)によって漏出のないことを確認している段階。
(ii)人工バリア及び天然バリアによって放射性核種の生活環境への影響を防止し、所要の監視(環境放射線モニタリング等)によって安全であることを確認している段階。
(iii)主に天然バリアによって放射性核種の生活環境への影響を防止するが、廃棄体等の放射能濃度が相当に低減しているため、主として廃棄体を掘り出すなど人間の特定行為を禁止あるいは制約する措置で対処する段階。
(iv)処分された廃棄体は、もはや放射性物質として拘束することを考慮しない。したがって、バリアによる放射性核種の閉じ込めは前提とせず、かつ、特定行為の禁止等の措置を必要としない無拘束段階。
(第4段階)

(5)この段階的管理は、継続して同一の場所で行われ、途中の段階での搬出を意図していないので、その安全確保の考え方においては当初から全段階の管理を一連のものとして把えておくことが必要である。したがって、現在事業所において行われている、搬出することを前提とし、施設に対する一定の管理を行ういわゆる貯蔵とはその目的・内容が異なるものであり、この点に留意して安全規制を考える必要がある。

第3節 極低レベル放射性固体廃棄物

(1)極低レベル放射性固体廃棄物は、もともとその放射能レベルが極めて低いため、安全評価を前提に処分の開始時からその性状等に応じ適正な管理型処分又は再利用型処分を行うことが可能である。この場合、主として人間が接近して処分された放射性廃棄物に直接接触することを防止するため、処分場の使用目的の制限、処分場を掘り起こす等特定行為を禁止あるいは制約する措置(低レベル放射性固体廃棄物における第3段階の管理に準じる。)等が必要となる。

(2)さらに処分された放射性廃棄物は、もはや放射性物質として拘束することを考慮しない無拘束段階(第4段階)に至れば、特定行為を禁止あるいは制約する措置を必要としない。

(3)極低レベル放射性固体廃棄物については、上記�に述べたように適正な処分方法及び管理の合理化が可能であり、これに対応した安全規制を考える必要がある。

(4)極低レベル放射性固体廃棄物の処分の代表的な例としては、コンクリート片等をそのまま埋没処分することが考えられている。
また、極低レベル放射性固体廃棄物は一定の条件の下に再利用又は再生利用を行うことが可能である。